はじめに

管理組合の理事になられた方、修繕委員会になられた方が最初に通る何をすればよいのか?という点をまとめました。

このコラムを読まれている大半の方が、マンションの管理会社にだけ任せておくのではなく、自ら動こうとしている方が多いです。

管理会社の工事について

  • 費用が高いのではないか?
  • 不要な工事があるのではないか?

どちらも当てはまると思います。

当社は3年前までは国内の管理戸数トップの2社の下請け工事をおこなっておりました。数々のマンションの工事に入り、管理会社主体の工事はどのようなものかは見てきました。

その経験を生かし管理組合に寄り添った工事を心がけております。

修繕工事の基礎知識

  • 長期修繕計画書
  • 工事の周期
  • 工事の内容
  • ポイント

修繕の計画を1年後・2年後だけではなく、20年間・30年間など先の修繕までを予め計画している書類です。マンションによっては50年先まで計画するマンションも増えてきております。

長期修繕計画書の周期の元になるものが国土交通省が推奨している工事期間です。主に大規模修繕工事が12年周期なのはそのせいでもあります。最近では野村不動産が15~18年周期に変えており、材料の品質や工法の変化により15年以上とするマンションが増えております。

主な修繕工事

  • 屋上防水工事
  • 外壁塗装工事
  • バルコニー防水工事
  • 廊下防水工事
  • 各部鉄部塗装工事
  • 外壁タイル工事

大規模修繕では主に屋上・外壁などの修繕工事をメインとして行い、オートロックやエレベーターや各部屋の設備関係などとは別工事です。

 

大規模修繕工事を行わないといけない法律はございません。管理組合に義務付けられている事は外壁の調査【外壁の全面打診調査義務】になります。その上で、外壁のタイルや塗っている壁が、なんらかの要因で剥がれて墜落する事を防止するために工事を行います。そして調査や工事には主に足場を組んで対応する事が多いので合わせて工事をしてしまうという事です。また、建物の劣化させる原因のトップクラスにある事が雨水の侵入です。この事から雨漏り対策とし防水工事をしっかり行います。

管理会社では100項目の工事をし1億円かかるが、実際にやるべき工事は20項目で2,500万円で終るってこともあります。

どこまで工事を行うかは管理組合(修繕委員会)や積立金により各マンションで異なります。

重要なポイント①

初めての大規模修繕工事は10年目までに行う。

理由は2つあります。

1つめは、新築工事の瑕疵があるからです。新築工事の瑕疵は10年間ですので、瑕疵の期間中に建物の調査をし劣化ではなく瑕疵にあたる部分は新築の施工会社に費用を請求します。施工会社は極力その責任からは逃げたいはずです。また、管理会社はその施工会社と何らかのつながりがある会社なので、何も言わなければ最初の工事を10年目以降に設定しているはずです。気づいた時には、『あっ!もう過ぎてる』なんて事もあります。

2つめは、新築時には12年~15年も耐久のある工事を行っておりません。よくまだ雨漏りしていないからとか、延ばせば得だと思ってる組合では最初の工事をどんどん後に延ばします。結果として5,000万円で済む工事だった予定が6,000万円になることもあります。理由は劣化が増えたからです。主な理由は以下の通りです。

項目 新築 改修工事後
防水工事 7年~12年 10~35年
鉄部塗装 4~7年(主にウレタン塗料) 7~12年(主にシリコン・フッ素塗料)
外壁塗装 7~10年(主にウレタン塗料) 10~25年(主にシリコン・フッ素塗料)

このように、新築時には最低限の品質の材料を使用した工事が多いです。マンションによってはしっかりとした工法で工事を行ってると思いきや厚みを調べたら足りていない事とか、剥がれている部分を見ると材料で異なる物を使用しているという事もあります。新築工事は改修工事と異なり、工期[おっかけ仕事]の問題で雑な事が多いです。

新築時にから初めての大規模修繕工事を延ばすと言う工事は危険だという事を頭に入れておいてください。

重要なポイント②

全ての工事を行う必要はない。また、修繕計画を見直す事も重要です。

例えば、大規模修繕工事を12年目周期で考えていたマンションでも、今回の工事で耐久年数を延ばせる工事を行えば、15年周期や20年周期など変更する事も可能です。劣化の早い鉄部塗装は定期的に行うが工期が延ばせる防水や外壁塗装は良い品質の工事を行う事があります。行う必要がない工事としては、数年後に交換する予定の物の塗装工事や劣化しても周りに影響のない部分もあります。実際外壁の落下の防止と雨漏りの防止さえできていれば施工をしなくても良いものもあります。

※マンションは工法や内容から耐久年数が長いですが、木造の戸建は20~30年何もしていないという建物のが修繕工事を行っている建物より圧倒的に多いです。

重要なポイント③

必ず相見積もりをする事。管理会社主体の工事では管理会社関係業者で談合します。これはコンサルタントを入れても談合が多いのはニュースにあります。必ず、多方面が業者を探し相見積もりを行う事が重要です。

※多方面とは、一人や1法人で業者を選ぶのではなく、修繕委員会や理事会など複数の人物で業者を探す事です。

様々なニュースを見ていると、管理会社や委員会(理事会等)の担当者が施工会社から御礼金(キックバック)をもらうという事もあります。中には工事金額の10%をもらうなどという理事長さんのニュースなどもありました。大きな工事は、この業者に頼むなど怪しい動きがあれば、調査する必要があります。

  • 工事金額が高いのにごり押しをする
  • 他の業者と比べる事を批判する

このような場合は少し怪しいかもしれません。

重要なポイント④

修繕委員会を立ち上げる。

理事会のみで大規模修繕工事の様々な業者選定を行うのは大変です。メンバーの負担やこの経験をいかし次の修繕の事を考えると修繕委員会を立ち上げて、修繕について勉強するメンバーを作った方が良いです。マンションでは、建設関係者は全員修繕メンバーに入るというルールのマンションもあります。建設業界の色々な業種の人達が意見を出し合うので知識も経験も豊富で、変な工事なんてされないような強い組織力となります。また、デザイン作成や資料作成が得意な人がいれば、進捗を居住者にわかってもらう掲示物や建物についてもわかりやすく伝える事もできます。少しでも意識をもった人が増える事により資産価値の高いマンションの維持になるでしょう。

  • ステップ1
  • ステップ2
  • ステップ3

理事会で、長期修繕計画(大規模修繕の周期や費用)を再検討し管理会社に作成してもらう[仮案]。

場合によっては、修繕計画を作成している別会社に有料でお願いします。

そして、理事会で修繕の方向性を決める

修繕委員会等の修繕専門の組織を作る。この組織は理事会の諮問機関とし、理事会の補佐をする。

修繕委員会にはルールを作る事が多く、このルールの内容や組織の内容を管理規則にも加える。管理規則の変更のため総会で4分の3以上の賛成が必要。

修繕委員会の人気は、修繕期間中にするか人気を特に設けず、必要な時期に集まるなども良いと思います。

修繕委員会と理事会で大まかな修繕までの流れを作る。

  1. 今日から3ヵ月以内の〇社の見積を揃える。
  2. 見積が全て揃ってから数社に絞る。
  3. 〇月には数社の説明会を行う。
  4. 業者選定

動き始めてから業者が決まるまでは半年~1年くらいはかかります。

業者を決めて発表を行うマンションや、最終決定を総会等で行うマンションもあります。

以上が管理組合の方の動き方です。

当社では、見積の提案だけではなく今後の流れの相談やフォローも可能です。

どんな事でも相談してください。